学生時代に周囲の友達がみんな村上春樹を読んでいて、当時、村上春樹を知らないやつはダサいみたいな空気があった。なんかあった。僕はそういった連中を冷ややかに見ていた。
僕は村上春樹を人物ではなく一つのファッションブランドのように感じていた。今若者に流行りの。しかしまあ食わず嫌いもいけないかと思って実際に読んで見たことがある。たしか「ノルウェーの森」だったと思う。内容は覚えていない。「だめだ、やっぱり自分には受け付けない」そういう印象を抱いたことは覚えている。
作中にはジャズやクラシックの知らない曲名や演奏家の名前がたくさん出てくる。スコッチウイスキーとかレコードとか、なんか嫌にオシャレで登場人物も実際そんな人間周りで一人もいないよってのばかり。セリフにまったく人間味を感じられなくてキザったらしい。感情移入ができないや。なんでこうも気取った作品をつくるかね。なんてことを思ってた。
そんな僕が今、村上春樹にドはまりしている。長い時を経てたまたま古本屋で手に取った一冊。全く期待はしていなかった。読み進めるうちにどんどん引き込まれていった。「やばい!これ面白い!村上春樹やばい!」途中何度も唸りながら読んでいた。
これまでの人生で体験してきた現実とその周辺で体験してきた感覚的な世界。この自分が体験してきた常識の外にある不思議な世界で感じたことと村上春樹の世界がシンクロし心が震えた。僕の心が村上春樹と繋がるとキザったらしく思えたセリフもとてもナチュラルなものに感じるから不思議だ。
出会うタイミングに今来たのだなと思った。村上春樹の作品を読んでいると、いろんなインスピレーションが湧いて来る。彼の世界に触れることが出来て僕は幸せに思う。なるほど毎年ノーベル文学賞を期待されるだけのことはあるわ。(何様だ)
自分が読んだ作品を個人的に面白かった順にランキング形式で記録に残していきたいと思うので、もしよかったら見てください。
「ここは見世物の世界、何から何までつくりもの、でも私を信じてくれたなら、すべてが本物になる。」
愛と運命、記憶と現実の錯綜が織り成すこの小説は、村上春樹ならではの繊細な描写と哲学的なテーマが鮮やかに絡み合っています。
「どれだけ自分で考えて、どれだけがんばって努力したところで、そんなことはまったくの無駄なんだってね。というかむしろ、頑張れば頑張るほど、自分がどんどん自分ではなくなっていくみたいな気さえするんだ。自分が自分自身の軌道から遠ざかって行ってしまうような。」
この作品は青春と探求の旅を描き、孤独や愛、成長の喜びと苦悩を通して人間の本質を追求します。
「どれだけ自分で考えて、どれだけがんばって努力したところで、そんなことはまったくの無駄なんだってね。というかむしろ、頑張れば頑張るほど、自分がどんどん自分ではなくなっていくみたいな気さえするんだ。自分が自分自身の軌道から遠ざかって行ってしまうような。」
この作品は青春と探求の旅を描き、孤独や愛、成長の喜びと苦悩を通して人間の本質を追求します。
「体の中心近くに冷たく固いものがーー年間を通して溶けることのない厳しい凍土の芯のようなものがーーその冷ややかな芯を、自分はこれから少しずつ溶かしていかなくてはならない。その凍土を溶かすために、つくるは他の誰かの温かみを必要としていた。彼自身の体温だけでは十分ではない。」
物語は、主人公である多崎つくるの視点から展開されます。彼は物語の冒頭で「色彩を持たない」少年として描かれ、自らの存在に疑問を抱きながらも、何かを探し求める巡礼の旅に出ます。多崎つくるの内面の葛藤や複雑な心情が、読者に強い感情を呼び起こします。
「22歳のすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩き潰した。」
あちらの世界とこちらの世界を行き来する村上春樹の恋愛小説。主人公が辿り着いたはそっちだったのか。
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