私が幼い頃、今は亡き祖母とよく泊まりにいった粟津温泉。温泉に行ったら旅館内のゲームセンターにダッシュをしてそれから屋外プールに飛び込んでついでに温泉にも飛び込んでそのあと温泉街を散策して幼い自分にとってそこはパラダイスであり、祖母との大切な思い出がある特別な場所です。
今から30年前くらいにはなりますが、当時は多くの宿泊客で賑わってキラキラした場所でした。
全国各地に温泉街が廃墟化していると言われています。バブル崩壊、時代の変化、そしてコロナ大流行と温泉地にとっては逆風が吹き続けています。先日実際に訪れた片山津温泉を目にした時には驚きました。廃墟が立ち並び、建物がサビだらけで劣化が著しく、お店は大体閉まっていて人通りも少ない。町全体を覆う澱んだ空気。ショックを受けました。そうかと思えば同じ加賀温泉郷にある山城温泉はとてもきれいな街並みで風情があり今も温泉客が後を絶たない素敵な場所です。
両者を分ける違いは一体なんなんだろうと思いつつ、今回おなじく加賀温泉として歴史ある「粟津温泉」を歩いて来ました。
粟津温泉も例にもれず荒廃が進んでいた
今も素晴らしい山城温泉の例があるだけに、淡い期待を抱きつつこの地に足を踏み入れて見たわけです。そこに広がる光景は昔のキラキラしたものではなく廃墟が並び荒廃が進むなんとも悲しい光景でした。それでも頑張っている旅館はあります。ただ全体的な空気感がもうダメなんです。遠い所からやってきて粟津温泉の空気に触れた時に晴れた気持ちにはなれないんです。その日関西からサークルの旅行と思われるバスがたくさんの学生を乗せて2台走っているのを見ましたが、その学生たちはこの景色を見てどう思ったのだろうかと少し申し訳ない気持ちになりました。
山城温泉との決定的な違い
街並みの美しさ
前回山城温泉の記事を書きました。
初めて訪れてここはなんかいいなと直観的に思わせる雰囲気。良い場所に共通する空気ってありますよね。山城温泉だけではなく全国的にも有名な「加賀屋」がある和倉温泉や個人的におすすめしたい湯涌温泉にも良い空気感があります。
上記にあげた素敵な空気感のある温泉に共通して言えるのは街にゴミが落ちていない。ということです。これってすごく大事なことです。
経営が苦しくて倒産に陥り廃墟が出来てしまった。これはもうどうしようもないことですが通りのゴミをなくすことは人々の意識次第でできること。そして人々の意識こそ町全体の雰囲気を作っていくと思うのです。
誰もゴミが落ちていたり雑草が伸び放題の場所にわざわざ貴重な休みを使って行こうとは思わないはずです。
この写真は粟津温泉の比較的メインの通りで撮ったものです。鉢植えの植物が枯れた状態でそのまま放置されていました。このような光景は山城温泉や湯涌温泉では決して見られませんでした。なぜこのまま放置されているのでしょうか?誰も気にならないのでしょうか?世話を出来る人がいないのでしょうか?
この鉢植えが現在(2023年9月)の粟津温泉の状況を象徴していると思います。
粟津温泉歩きを通して「気」について考えさせられた
私は最近温泉街を中心にして加賀の方にある観光スポットをいくつか回っていきました。
山中温泉、片山津温泉、山城温泉、旧ユートピ加賀の郷(観音温泉ホテル)など。そして今回廃れている粟津温泉を歩いて考えたのが、その場の空気。いわゆる「気」と呼ばれるものの存在です。
行く場所によってその場の雰囲気があって、その雰囲気が自分の気分に大きく作用してきます。
当たり前のことといえば当たり前なのですが、良い気が充満するところにいれば楽しくなったり元気になりますが、悪い気が占めているところにはあまりいたくないですし人が集まりません。
「気」って大事だなぁって粟津温泉を歩いている時にふと思って、そしたらこれまでの経験や様々なことが一気に結びついたんです。それで「良い気」を意識しようと思いました。
私はすぐに部屋の掃除をしました。喚起をしました。普段は意識しない汚れなども綺麗に磨きました。
盛り塩もしました。植物も育てるようにしました。
そうするとやっぱり変わります。心持ちいい気がします。なんとなくのものですが、この「気」がとても大切なのだとわかります。
粟津温泉は必ず復活する
私個人的に思い入れの強い粟津温泉。このまま廃れていくのは悲しすぎます。
粟津温泉は自然豊かで石川県が世界に誇る九谷焼が有名な場所でもあります。
また近くにある自然と伝統工芸体験を同時に楽しめる「加賀伝統工芸村ゆのくにの森」はかなりおすすめのスポットです。
さらに粟津温泉にはギネスブックにも「世界で最も古い宿」として認定された温泉旅館「法師」もあります。奈良時代から1300年以上続く歴史あるお宿です。
そして来年加賀温泉郷を舞台にした小芝風花主演の映画「レディ加賀」が公開されます。
廃れていく加賀温泉を盛り上げるために立ち上がった旅館の若女将たちの物語です。
粟津温泉は金沢市からもそれほど遠くないですし、いろんな材料がそろっています。
コロナ渦もあけます。追い風が吹いています。
これから復興を果たし、また温泉客でにぎわう街並みがきっと戻って来るでしょう。
私はそう信じています。
コメント