日本映画もまだまだ捨てたものじゃない!後世に残るおすすめ日本映画5選

映画

昨今、韓国映画やインド映画の勢いは著しく実際に見て見るとそのレベルの高さに驚かされます。その反面日本映画はつまらないし終わっているなんて評をよく耳にすることがあります。

しかし!日本映画はまだまだ捨てたものではありません!豊かな文化と独自のアートが織りなす、素晴らしい映画作品が数多く存在します。この記事では、後世に残る価値あるおすすめの日本映画をご紹介します。感動、笑い、涙、驚き―さまざまな感情を呼び覚ますこれらの作品は、日本の映画産業が世界に誇る宝物です。一緒に、その魅力に浸り、新たな映画の冒険に出発しましょう!

ゴールデンスランバー

首相暗殺犯に仕立て上げられてしまった男の2日間の逃亡劇!最初から最後まで目が離せなかった。

2010年公開 監督:中村義洋 原作:伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
        出演:堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、香川照之、柄本明、劇団ひとり、濱田岳など

映画の概要

物語は、平凡な日々を送る主人公が、ある事件をきっかけに大きな陰謀に巻き込まれるところから始まります。彼は自分の無実を証明しようと奔走し、次第に大きな政治的陰謀が絡んでいることに気づきます。この過程で、友情、裏切り、愛といったテーマが巧みに織り交ぜられています。

映画の見どころ

ストーリーが抜群に面白い

原作者の伊坂幸太郎は今日本で最も勢いのある作家と言っても過言ではないと思う。
運送会社に勤める一般人がある日突然首相暗殺の濡れ衣を着せられ逃げ続ける話だが、ここ最近の不穏な社会情勢と相まって不気味なリアリティを感じてしまいます。テレビやネットの情報の胡散臭さを長年感じていると、自分の知らないところでこういう真実ってもしかしてあるのかもしれないなと思えてくるのです。この映画は序盤から最後まで絶妙な緊張感を維持しつつ思いも寄らない展開に目が離せません。

伏線回収がえげつない

この映画にはまぁたくさんの伏線がちりばめられています。そしてそのすべてにおいて回収の仕方が秀逸なんです。見ていて爽快な気持ちになりますよ。一切無駄のない演出で我々を楽しませてくれます。多くのの伏線を見落とさないように注意して観てもらいたいと切に思います。

キャストも豪華だが、個性的で魅力あふれる登場人物が多い

この映画、出てくる登場人物がとにかくクセが強くて魅力的。連続通り魔のくせに主人公を助ける人間やいつもニコニコしている不気味なスナイパー、ロックを愛する配達員、整形疑惑があるアイドルなどバラエティーに富んでいます。それなのに全体のバランスが全く崩れていないところがすごい。
見ていてまったく飽きません。

泣かせる演出

首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公は全国指名手配になりマスコミにもバンバン報道されてしまいます。社会から敵意を向けられる主人公ですが、そんな彼を信じる人間がいる。友達や家族その他。信頼しあう人間関係って美しなと思わせてくれます。途中何度も号泣してしまいました。

エンターテイメント映画としてめちゃくちゃレベルが高い作品だと思います。
その面白さから韓国でもリメイク作品が制作されました。
見たことない人は是非一度見てもらい名作です。

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おくりびと

生と死そして別れという普遍的テーマをチェロの美しい音色に乗せて贈る感動作

2008年公開 監督:滝田洋二郎 原作:青木新門「納棺夫日記」 脚本:小山薫堂
        出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、笹野高史、杉本哲太

第81回アカデミー賞外国語映画賞
第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞など受賞

個人的にこの映画には、「生と死」「別れ」というテーマを聞いてなんとなく辛気臭くて暗いイメージがありました。しかし実際に見て見るとほのぼのとしていて温かく、時にコミカルで笑えたりします。それでいながらメインテーマはしっかりと抑えており心を揺さぶられます。

物語は東京で暮らす主人公の元オーケストラのチェロ奏者がその職を失い故郷に戻りひょんなことから「納棺師」の仕事につくところから始まります。納棺師とは亡くなった方を身なりを整え綺麗にして納棺をすることを生業にしている人のことをいいます。

主人公は死者との触れ合いを通じて、死と向き合い、生の尊さに気づいてきます。そして遺族の悲しみや喜びに寄り添いながら、死者を送り出す「おくりびと」としての役割をはたしていく様子が描かれています。

『おくりびと』は、生と死という永遠のテーマに焦点を当てています。作品は、死が不可避なものであると同時に、死者への尊重と感謝の気持ちが人々をつなげ、癒す力を持つことを示唆しています。信夫が遺族と共に死者の最期を見送る場面は、感動的で心温まります。

生きている間に一度は見ておきたい名作です。

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ドライブ・マイ・カー

村上春樹の世界観を見事に映像に落とし込んだ素晴らしい作品

2021年公開 監督:濱口竜介 原作:村上春樹 出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生

第74回カンヌ映画祭 脚本賞を含む計3部門で受賞
第94回アカデミー賞 国際長編映画賞受賞

監督濱口竜介が凄い

私は村上春樹の小説が好きで愛読をしています。幻想的で独特の世界観に魅了されるファンは日本のみならず世界中にいます。彼の小説を原作として映画化された作品はいくつかありますが、その中でも本作は圧倒的に村上春樹の世界観を忠実に再現している作品だと思います。

濱口監督はこの作品以降世界中から高い評価を受けて2022年のベルリン国際映画祭で審査員団の一人に抜擢されています。

また2023年ヴェネチア国際映画祭に濱口竜介監督「悪は存在しない」が出品され、銀熊賞を獲得し日本では黒澤明以来初めてのアメリカのアカデミー賞と世界三大映画祭のすべてで受賞した監督になっています。

ドライブマイカーは濱口監督の商業映画3作目というから驚きです。
内容につきましては別の記事で書きましたのでよろしければご覧ください。

村上春樹の小説が好きな人、まだ読んだことことがないと言う人にも是非みてもらいたい。
雲が流れるように自然とストーリーが展開する本作はこれぞ芸術作品という印象を受けます。
映画好きを唸らせる傑作!
そしてこの濱口竜介という監督にこれから注目です!!

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桐島、部活辞めるってよ

今でもSNS上等で使われる「〇〇、○○辞めるってよ」や「スクールカースト」と言う言葉を広め社会現象を巻き起こした衝撃作

2012年公開 監督:吉田大八 原作:朝井リョウ 
        出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、松岡茉優、山本美月、大後寿々花

第36回日本アカデミー賞 最優秀作品賞など3部門で最優秀賞を受賞

日本映画では見られなかった演出が秀逸すぎて鳥肌レベル

すべてはある高校のスクールカーストの頂点に君臨するバレーボール部のキャプテン桐島が部活をやめることから始まります。そのことが静かな湖に投げた石ころのように徐々に波紋を広げていき、私たちの心を大きく揺さぶるストーリーとして展開していきます。この着眼点、すごくないですか!?そしてなによりも巧みな演出に私は衝撃を受けました。

物語は群像劇という形で複数の登場人物が作品の中で重要な役割を果たし、複数の物語線が交差する形式で展開していきます。一人一人の視点でストーリーが描かれ切り取られたくさんのピースが出来上がります。そのバラバラなピースを時間軸に従うわけでもなく作品に貼り付けられている。その演出が非常に秀逸なんです。桐島が部活をやめることでバラバラになったピースがなんの違和感もなく展開し最終的にまとまっていく。ここには10代特有の複雑な精神構造とリンクする部分があると思います。

内容もすごく面白く、作中には高校のスクールカーストの各層が登場します。成績が良くてイケメンで恋人がいる生徒がいれば、部活を一生懸命頑張っている生徒、映画部のオタクや、帰宅部のチャラチャラした生徒など。スクールカースト上位が下位を馬鹿にしていたり、私たちが青春時代に見たこと感じたことがある風景がそこにはあります。見る人によって感情移入できる登場人物が必ず出てくると思います。


この映画でとても印象に残っているシーンがあります。
夕日をバックにスクールカースト上位のイケメンがオタクにカメラを向けられて涙を流すシーンです。
スクールカースト制度が崩壊する瞬間です。
人間にとって本当に大切なものとは何か考えさせられます。

ネット上での評価はあまり良くないようですが、私は珠玉の逸品だと思っています。

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火宅の人

ここまで濃密でリアルな人間ドラマは他にない!
体臭が画面越しに漂ってくるようだ!

1986年公開 監督:深作欣二 原作:檀一雄「火宅の人」 
        出演:緒形拳、松坂慶子、原田美枝子、いしだあゆみ、檀ふみ
第10回日本アカデミー賞最優秀作品賞を含む7部門で最優秀賞を獲得

火宅・・・煩悩と苦しみに満ち、安住できない現世を、火のついた家にたとえていう語。

映画の概要

原作者檀一雄の半自伝的映画。
主人公の桂一雄(緒形拳)は愛する妻(いしだあゆみ)と5人の子供たちをもつ。(次男坊が日本脳炎にかかり知的障害者施設に入所している)
一雄は酒と女を愛し常識に囚われない自由人で小説家。そんな一雄の前に妻の他に3人の女が現れる。
映画のタイトルにある火宅の人とはまさに主人公一雄のことである。
燃え盛る家のように危うさと苦悩に包まれつつも少しも気づかずに遊びにのめり込んでいく。

映画の見どころ

キャスティングが素晴らしい

深作欣二が脚本執筆中から緒形拳を思いながら書いただけあって、主人公の存在感がすさまじい。他のどの映画にも存在しないような個性的な主人公がそこにいてオリジナルでありながらも親近感や共感を感じさせる。

緒形拳のみならず、主人公とともに愛欲に溺れていく恵子を演じる原田美枝子の天真爛漫でありながら甘美で危ない妖艶な魅力を漂わせる役柄も良いし、いしだあゆみの夫の浮気に振り回される幸薄いが執念とも言える固い意志の強さを持つ役柄もハマっている。

少年期の主人公の母親役を演じているのが檀ふみ。原作者檀一雄の実の娘である。
檀ふみは火宅の人である実の父親の奔放な半生を描いた作品だけに、家庭環境に対する質問が取材陣から多くされたらしく、それがすごく嫌ったそうです。

まさに肉と肉がぶつかり合うような演技

本作は制作側の意図もあったのだろうが松坂慶子と原田美枝子の衝撃的な濡れ場が注目されている。確かに男の本能を強く刺激するような松坂慶子と原田美枝子の演技は素晴らしい。特に主人公一雄の理性を狂わせともに溺れていく原田美枝子の妖しい雰囲気は本作の肝と言えるのではないだろうか。
深作監督も濡れ場シーンには力を入れており、2,3分の濡れ場シーンに30時間の撮影時間を費やしたと言われている。

濡れ場シーンだけではなく、愛憎極まり緒形拳と原田美枝子が取っ組み合いの喧嘩をするシーンがあるが、撮影中熱が入りすぎて原田美枝子が顔面にケガをし、1か月間撮影が出来なくなったという裏話もある。そのくらいに一つ一つのシーンに対する熱量が高いために体臭まで漂ってくるようなリアリティをこの映画からは感じられるのである。

映画を地で行く火宅の映画監督深作欣二

撮影前後監督深作欣二はプライベートで松坂慶子にどっぷり浸かってしまい大スキャンダルに発展している。深作欣二は当時妻子持ちであった。深作の妻はメディアの前に松坂慶子に対してコメントしている。「声が悪いし、うまい女優になれないから脱ぐしかない人。夫の趣味も悪い。夫は松坂慶子にあふれる才能を食われているんです。」


深作の息子は学校でいじめられ一時登校拒否になっていたようです。
しかし息子が中学生のとき、深作のスキャンダル全盛の頃、『火宅の人』を母親と一緒に映画館に見に行った時はとんでもない映画を観ちゃったひっくり返ったそう。
この息子はメディアに対し「親父の赤裸々な自己告白と、無頼と、居直りに溢れていた。自分の魔界を全部さらけ出してる。僕もいつかそんなふうになりたいです」などと話したそう。

まさに火宅の人だ。
火宅にあったればこそここまでリアルな人間模様を描けるんだと思えてきます。

この映画は圧倒的に大人向けの映画です。
あの時感じた我をも忘れる情欲とそれにまとわりついて来る痛み。
今振り返ってみて見ればそれらの出来事も滑稽で愛らしく思えてくる。
映画の登場人物たちには共感と同情と愛情が自然に湧いて来るでしょう。

しかし、自分は「火宅の人」を卒業出来ているのだろうか・・・・

最近の日本映画にはない、生生しさがあります。
歴史に残る名作です。

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