映画「ドラゴンタトゥーの女」クレージーな女の儚く切ない愛の物語。

映画

最近ブログで自分の見た映画を記事として書いている。その作業はとても面白いなと思う一方で自分の感じたことを文章で表現することやその作品の良さを表現することの難しさを感じている。

そこで私は自分の好きな映画を記事にしてみたいなと思いレンタルショップに足を運んだ。好きな映画はたくさんある中で私が手に取ったのが「ドラゴンタトゥーの女」だった。

はじめてこの映画を見た時にまずオープニングに度肝を抜かれた。それがこれだ。

なかなかおだやかではない世界です。これはタイトルにもあるドラゴンタトゥーの女(リスベット)の内面の世界を投影したものだろうと思います。

これを見てあの頃を思い出します。(あの頃ってどの頃やねんって話ですが。)私にも以前あっちの世界とこっちの世界のギリギリを生きていたことがあったんです。その時の私の内面もちょうどこんな感じでした。なかなかおだやかではない。いい夢というよりは悪夢です。

この世界観、漫画ベルセルクのあの有名な「蝕」に似てませんか?知ってる人は知ってると思うし知らない人は知らないでしょうが。

まあこのオープニングからドラゴンタトゥーの女(リスベット)のイメージがなんとなく掴めると思います。クールでダークでクレイジー。でも純粋なところもあります。ちなみにドラゴンタトゥーはリスベットの背中左上あたりに入っています。黒々と。大きめに。

2012年公開 監督デヴィッド・フィンチャー

この女性リスベット(写真の左の子)は主人公ミカエル(写真の→のおじさん)の助手です。その見た目からも想像が着くとおりいろいろと問題を抱えています。リスベットは12歳の時に精神病院に強制入院させられています。それは自分の父親を焼いてしまったからです。本人は8割焼いたと言っていました。なぜ焼いたのかは作中では明かされておりませんが彼女が父親を焼くに至るまでにはそれ相応の惨い生活を強いられていたことでしょう。退院したのちもお察しのとおり荒れていたようです。薬物や暴力など。

そんなクールでクレージーなリスベットが主人公の記者であるミカエルと手を組み、ある大富豪一族の未解決事件の解明に乗り出します。

この映画にはクレージーな人間が多く登場するのですが、その人物の描き方が秀逸です。他にも監督デヴィッドフィンチャーならではの演出には心を奪われます。

本作の舞台であるスウェーデンの田舎の冬。灰色の景色。薄暗くて凍てついたスウェーデンの寒さが画面を通して伝わってきます。

音にも注目して頂きたい。風の音、車の音、扉が閉まる音。広い家の中に響く足音
音や映像を通して見る者の深い部分に恐怖の種を植え付けてきます。とても静かで凍てついた恐怖。

そして人物描写。とくに犯人とミカエルの駆け引きは圧巻です。支配する人間の恐ろしさと支配される人間の弱さが鮮明にそして繊細に描かれています。その駆け引きには思わず息を飲みます。

カット割りもお見事で話が自然に流れて間延びすることなく絶えず一定の緊張感を我々に与えてくれます。

どこをとっても最高です。

そして本作の隠れたメインテーマであるクレージーなリスベットの純粋な愛の描写。
スウェーデンの田舎の冬のように冷たい心が太陽の光に照らされて変容していく様子。

人間の中にある光と闇

その両方を綺麗に映像の中に落とし込んだ監督デヴィッドフィンチャーはやっぱりすごいなと思わせる一作でした。

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