映画「悪人」を見た。生きづらさを抱える人はだいたい美しい。

映画

李相日監督、渾身の一作
映画「悪人」

突然ですが、次の表を見てください。

精神障害者数の推移(石川県)
区分20102020構成比増減(2010-2020)
人数増加率
総数1462819548100492033.60%
入院患者数3408303715.7△335△9.8%
通院患者数112201647584.3525546.80%
参照:石川県社会福祉協議会

これは石川県の精神障害者数の推移です。この数字は実際に障害者認定を受けている人の数なので、精神的不調を抱える人はその何倍もいます。10年の間に33.60%の増加率。その数は今も増え続けています。多くないですか。今、心療内科や精神科には人であふれかえり予約待ちが続いていると聞きます。それだけこの社会の中で人生に生きづらさを感じている人が多くいるという現実があります。

この映画は昨今の日本を覆う本質的な社会の闇に真正面から向き合った映画だと思います。

純粋な心を持った2人の主人公
しかし同時にこの社会で生きづらさを抱える2人の主人公

私がこの映画で最も心に残っているシーンがあります。
それは深津絵里が演じる光代が駅の駐輪場で自分の体を抱きしめ涙を流すシーンです。
その姿には人生のすべてを哀れみ、孤独や生きづらさを抱える人間の心がそのまま純粋に表現されています。

本作を見る人は悪人探しをするだろう。
マスコミがかざす正義、偽りの友情、人の不安につけ入る企業、職場の人間関係。
純粋ゆえにそんな胡散臭さに過敏に反応し上手く生きられない人々。

しかしこの映画を見て思う。
純粋さは美しさである。純粋さが見るものを感動させる。
だから今生きづらさを感じている人はそんな自分を誇りに思えばいいと思う。

映画全体を通して役者陣の演技が素晴らしかった。とくに深津絵里の演技には拍手を送りたい。
心を激しく揺さぶる映画。このような作品にこの先どれだけ出会えるだろうか。

この映画を見たことない人は一度是非見てもらいたいと思う。
受け止め方は違えど、魂のこもった骨太な映画であることは間違いない。
映画を見終わった時に、胸に深く残るものがあると思います。

李相日監督、渾身の一作
映画「悪人」

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