石川県金沢市の穴場スポットを歩いてみた(鈴木大拙記念館とその周辺)

旅行
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石川県には数々の魅力的な観光スポットがあります。中には地元民ですらその存在をあまり知られていない隠れた名スポットが多くあります。
今回はそんな穴場的おすすめスポットを歩いてきました。
2泊以上石川県に滞在するならその2日目には必ず訪れてもらいたい私のお気に入りの場所です。
必ずそこで何か良いものを感じられる場所です。

境界揺れる水面眺めて

今回は「鈴木大拙記念館」とその周辺を歩いていました。
鈴木大拙館は観光スポットというにはあまりにも小さい。しかしそれでも私が自信を持っておすすめするスポットです。そこには深遠な「無」の世界があります。それと同時に鈴木大拙館の周辺がこれまたいいんです!

鈴木大拙記念館

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金沢市の兼六園、21世紀美術館にほど近い歩いて10分くらいの少し奥まった場所に隠れたようにポツンと建っております。
世の中には〇〇記念館がたくさんありますね。しかしその〇〇に興味がない人にとってはあまり楽しめないってこと多くないですか?
ですがこの「鈴木大拙記念館」は〇〇記念館という名を持ちながら「鈴木大拙」に興味がなくても、あるいはその存在を知らなくても人間であればどんな人でも魅力的に感じられる場所だと思います。

そもそも鈴木大拙さんとは?

明治3年に金沢市本多町に生まれる。
日本の仏教学者、文学博士で、禅についての著作を英語で著し海外に日本の禅や仏教思想を広く知らしめた。大拙は仏教の核心に霊性の自覚を見出した。大拙の生涯の思索の大部分はその《霊性の自覚》に向けられていたといってもよく、これが普遍性や世界性を持つと確信したので、仏教思想を欧米へも紹介したのである。大拙が見出した仏教の霊性的自覚というのは《即非の論理》の体得である。
同じ明治3年生まれの哲学者西田幾多郎とは金沢の第四高等中学校で知り合い生涯を通した親友である。(出典:wikipedia)

とても難しいことを言っているようではあるけれど、一言で言えば人間の本質の探究を生涯にかけて行った人物でありその点に関していえば我々に無関係ではなく、それどころか直接的に関係する世界の探究者と言えるでしょう。

ここ鈴木大拙記念館は鈴木大拙の人となりを紹介することをメインとするのではなく、彼の探究した禅の世界を我々の五感を通して感じられる空間である。

禅の世界を味わう

鈴木大拙館は次の3つの空間で構成されています。

・鈴木大拙を知る「展示空間」

・鈴木大拙の心や思想を学ぶ「学習空間」

・それぞれ自らが考える「思索空間」

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館内には過度な照明や飾りなどの余計なものはほとんどなく、展示スペースにも簡素で素朴な鈴木大拙に縁がある品が数点展示されているのみです。
広い意味でとても静かな空間です。歩いてみると自分の心も自然に静まっていることに気づきます。

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思索空間です。椅子に座り外を眺めます。

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森から聞こえてくる鳥の声や、水の音を聞こえてきます。ただぼんやりと空や森や水面を眺めます。
思考が止まり、時間の流れが止まります。
ただここにいる。
安心感や心地よさ。もっと深くにある静寂。
他所ではなかなか体験できない世界をここで味わうことが出来ます。
何もない世界がここにはあります。

鈴木大拙記念館

所 在 地:石川県金沢市本多町3丁目4−20
電話番号:076-221-8011
営業時間:午前9時半から午後5時 (入館は午後4時半まで)
休 館 日:毎週月曜日 (月曜日が休日の場合はその直後の平日)
    年末年始 (12月29日から1月3日)
    その他展示物入れ替えにより随時休館
入 館 料:一般 310円
    65歳以上 障碍者手帳所持者及びその介護人 210円
    高校生以下 無料
駐 車 場:なし

鈴木大拙記念館の裏手にある「松風閣庭園」

鈴木大拙館の裏手にある狭い木戸を抜けると庭園があります。大きな案内看板などはないのですが、この庭園は知る人ぞ知る歴史的名庭園なんです。

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入口もこんな感じで一見わかりにくい。しかしそこは300年間一般公開されることがなかった幻の庭園があります。

兼六園のモデルとなり300年間一般公開されることがなかった幻の「松風閣庭園」

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庭園内を歩いていると庭を管理している紳士に出会いいろいろ教えていただけました。

ここは日本三大庭園の一つ兼六園より歴史は古く、その兼六園のモデルになったと言われています。
作庭は江戸初期、加賀八家の筆頭本多家が加賀藩より拝領された屋敷地です。
ここは個人の所有地として300年以上もの間2011年まで一般公開されることがありませんでした。

当時のお姫様やお武家様方がお茶を飲みながら楽しんだ御池

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この黒い四角の石に毛氈(もうせん・お茶をたてるときに敷く絨毯)を敷いてお姫様やお武家様方がお茶をたて庭園を楽しんだそうです。
着物を着たお姫様が楽しんでいる様子をリアルに想像するとなんか面白い。
でも実際にそういう光景がここにはあったのかと思うとロマンを感じます。

(毛氈のイメージ画像です。)

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こちらの庭園は300年以上の間、そのままの形で今も残る大変珍しい庭園とのことです。歴史的な庭園と言われるほとんどが明治時代から現在までに移転や改築がなされているそうです。

すず姫様が一般の人々と御対面した松風閣

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当時前田のお姫様のすず姫様がここで一般人と対面し交流したとあります。
今のアイドルの握手会とはわけが違いますね。広瀬すずに会いに行くよりすごいのか・・・。
身分の上下があった時代。庶民がお姫様に会うのはどんな心持ちだったんだろ。。。

江戸時代に武器の保管庫として使われた蔵

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こちらは江戸時代に武器の保管庫として使われていたそうです。それがほとんどそのままの形で残っています。そして現在は陶芸工房として使われています。
江戸時代初期からある庭園のそばでロクロを回して陶芸作りっていいものが作れそうですね。

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松風閣庭園

所  在:石川県金沢市本多町3丁目2−1
電話番号:076-220-2469
入 園 料 :無料
開園時間:9時から17時

松風閣庭園を散策したら、県立美術館につながる秘密の抜け道を歩こう

秘密にされている道ではないのですが、地元民でも知っている人が少ない素敵な道です。県外から観光に来られる方のほとんどは知らないと思います。
全国に数多くある散策路の中でもかなり満足度が高い部類に入ると思います。

①鈴木大拙館の裏手に周り林に進みます(徒歩3分)

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林の中を3分ほど道なりに歩きます。

②「緑の小径」を歩きます。(徒歩5分)

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とても歩きやすい緑の小径を歩きます。自然に囲まれてとても清々しいですよ。

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緑の小径を歩いておりますと左手に綺麗な公園が見えます。

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公園の中に見えますのは旧本多家住宅長屋門です。

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さらに緑の小径を進みますと「中村記念美術館」と「旧中村邸」が見えてきます。

森の中に入り「美術の小径」を登ります。(徒歩5分)

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山の水が岩肌を勢いよく流れ落ちてきます。
鈴木大拙館からここまで10分弱のウォーキングです。森の中を歩きこの岩を流れる水の音を聴きていると何とも言えない心地よさが心の底から湧き上がってきます。
ゴールはもうすぐそこです。

左に行けば森を眺めるオシャレなカフェ、右には美術館や博物館

石段を登り左に行くと

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石川県出身の世界で活躍するパティシエ辻口博啓氏のカフェ
「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」

石段を登り右に行けば

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石川県立博物館

国立工芸館(公式ホームページ)

石川県立美術館(公式ホームページ)

まとめ

今回は金沢市の中心部にある鈴木大拙館から300年以上の歴史を持つ兼六園のモデルにもなった松風閣庭園を味わい、石川県立美術館に通じる小径を散策してきました。

あらためてこのルートを散策するとすごい贅沢なエリアだなと思えます。
これだけ歩きごたえがあるところはちょっと他を探してもそうそうないです。
観光スポットとしては穴場中の穴場で是非おすすめしたいエリアです。
兼六園やひがし茶屋街あるいは能登の自然は本当に素晴らしいです。しかしここではそれらとはまた少し趣が異なる金沢の色を堪能できることでしょう。

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