加賀温泉郷の中で頭ひとつ抜けている山城温泉は町の人々の思いを感じるところ

旅行

先日、完全に廃墟と化した旧ユートピアランド加賀の郷の記事を書き、続けて加賀温泉郷の一つ廃墟化が進む片山津温泉について書きました。加賀市にある巨大観音がまるで衰退の象徴であるかのようにあたりに不穏な空気が漂っているようです。

バブル崩壊と時代の流れ、そしてコロナウィルス感染拡大。
これらが全国にある温泉街をじわりじわりと追い詰めています。

そんな加賀温泉郷の温泉街でありながら、とても素敵な温泉街があります。
それが今回歩いてきました「山城温泉」です。
前回片山津温泉を訪れて衝撃を受けただけに、山城温泉も同じように廃墟化が進んでいるんだろうと思いながら訪れたのですが、予想を大きく裏切られました。とてもいい意味で。
荒廃した街には哀愁は漂っていても風情や趣などは残念ながら感じることはできません。
この山城温泉街はちゃんと温泉街として機能していてしっかりと情緒が感じられる素敵な場所でした。

なぜ衰退していく温泉街がある一方で山城温泉のように現在も色あせることがない温泉街があるのでしょうか。その謎に迫っていきたいと思います。

きれいな街並み

全国的に荒廃している温泉街ですが、中には今も多くの人が訪れ人気の温泉街もあります。
両者の間にはどのような違いがあるのでしょうか。
その最も大きな違いの一つが「街並みの美しさ」だと思います。


荒廃しているなと感じる温泉街はもれなく次のような特徴があります。

・建物が老朽化して壁面がサビだらけになっている。
・大きな廃墟が並んでいる。
・通りにゴミが落ちている。
・雑草が伸び放題になっている。

一言で言えば「汚い」。


せっかくの休みを使って日々の疲れを癒すために温泉に行くのに、どれだけ旅館の温泉や料理がよかったとしても街並みが汚かったら残念な気持ちになりますよね。
今の時代にあって荒廃していく温泉街はこういう状況になっていても全然おかしくはないと思います。
しかし山城温泉は上のどれにもあてはまらず街並みが「きれい」なんです。

町全体どこを見てもゴミが落ちておらず綺麗です。
そんな山城温泉には廃墟と化した旅館やホテルがないわけではありませんが目につく場所にはないんです。行政や地域の人々の努力のあとが見えます。
さらに老朽化した建物などもうまーくリフォームされています。


風情ある街並み 「湯の曲輪」

山城温泉街はよく整備された美しい町並みに加えて、町全体が醸し出す情緒を随所に感じられます。その中でも山城温泉街の中心に位置する古総湯は街のシンボルとして大きな存在感があります。

古総湯

山城温泉では「総湯」と呼ばれる共同浴場を中心に湯宿が取り囲む街並みが形成されてきました。「湯を囲む」「湯の側」の意味から、この街並みは「湯の曲輪」と呼ばれるようになりました。湯の曲輪の形態が残されている温泉地は全国的にも珍しく、今なお昔日の面影をのこしています。

古総湯の浴室タイルには九谷焼が使われていてまた、随所にステンドグラスがあしらわれるなど斬新なデザインが取り入れられています。

古総湯を取り巻く旅館

まるでお城のような旅館から森の中の隠れ家のようなものまで個性豊かで素敵な旅館が古総湯を取り囲むように建っています。

至る所で建物のメンテナンスが行われている。

山城温泉街を散策していて気づいたのが、旅館の改修工事や建物のメンテナンスが街の至る所でなされていることです。その数がとても多い印象でした。他の温泉街ではあまり見られなかった光景です。
一つ一つの旅館の意識が高く、山城温泉の全体の美しい景観が保たれていることがわかります。

温泉街を守る神社仏閣

服部神社

薬王院温泉寺

服部神社にしろ薬王院温泉寺にしろ、時代を感じさせる神社仏閣にもかかわらずとにかく綺麗にされている。山城温泉街もそうですが、街の至る所が綺麗なんです。この温泉街を地域の人々が本当に大事にされていることがわかります。

地域の人々の思いが伝わるあたたかい温泉街

温泉街の至る所に、あたたかみのある温泉マップや、小学生が描いたと思われる観光案内の絵を見ることが出来ます。お店の店員さんもみなさんとても親切でした。

九谷焼が楽しめます

「九谷焼窯元 須田菁華」

「九谷焼窯跡展示館」

温泉街を散策していて見つけた面白いスポット 「サザエ堂」

温泉街を散策して軽く山登りをしていたら不思議な形の構造物が見えてきました。

この不思議な形の建物は展望台です。

中に入ってみました。

木組みのらせん状階段がとてもよい。

大きな貝殻の中に入ったようだ。

頂上に着いた。

なにここ。めっちゃいい。風も気持ちいいし。すごいわかりにくい場所にあった。

360度の大パノラマで景色がすこぶる最高でした。
この展望台の名前は萬松園栄螺堂(ばんしょうえんさざえどう)と言います。
名前の由来はサザエを伏せたようなユニークな形状で、内部にらせん状の階段設備のある仏堂を栄螺堂と称することや、「栄える」という意味などを込めて名付けられたようです。

さいごに

加賀温泉郷の一つ山城温泉を歩いてきました。
前回片山津温泉を訪れたあとだっただけにびっくりしました。おそらく山城温泉もだいぶ寂れてしまっているんだろうと思っていたのですが、寂れるどころかとっても素敵な世界が広がっていました。
散策していて思ったのは、山城温泉はいろんな顔を持っているということです。それでいて全体として調和がとれている。

全国的に多くの温泉街が荒廃していく中、どうして山城温泉が色あせることがないのか。
それは地域の人々の思いがそうさせているんだと思います。
山城温泉街はどこを見てもきれいにされていることに感動しました。
加賀温泉郷の中では頭一つ抜けています。

というわけで石川県に観光に来られる際の宿泊先の一候補として山城温泉はとてもおすすめできます。

国内・海外ホテル格安予約のアゴダ

【Trip.com】旅行をもっとお得に!


コメント

タイトルとURLをコピーしました